集中治療医学は生命を脅かす急性の臓器不全に対応することを特徴とする医療です。あらゆる臓器不全に対応しなければならず、内科系・外科系を問わず、分野横断的な知識と技量が求められます。また、急性期の蘇生、診断、治療にとどまらず、臓器保護、栄養管理、リハビリテーション、合併症への対応と予防、終末期医療など広い視野を持った診療が必要となります。
研修医は毎日数名の患者を受け持ち、毎朝行われる多職種回診で症例のプレゼンテーションを行い、重症患者管理に関し自ら考え判断できる医師としての素養を育みます。また、指導医によるベッドサイドティーチングやレクチャーを通して、集中治療医学の基礎知識と基本的手技の習得を目指します。
研修期間中にジャーナルクラブやセミナーを担当し、一つのテーマについて深く掘り下げて学習する機会を設けます。効果的なスライド作成やプレゼンテーション方法の指導も行います。
【研修カリキュラム】
- 1. 病歴聴取
- ・ICU入室時カルテを適切に記載することができる
- 2. 理学的所見
- ・一般的な身体診察に加え、重症患者特有の身体診察について理解する
- ・モニターやグラフィックを利用したフィジカルアセスメントができる
- 3. 基本手技
- ・中心静脈ラインがエコーガイド下で安全に挿入できる
- ・動脈ラインが安全に挿入できる
- ・気管挿管前の評価及び準備が適切にできる
- ・気管挿管(直視下・ビデオ喉頭鏡)ができる
- ・胸水、腹水のドレナージが安全に実施できる
- 4. 検査
- ・血液ガス分析の結果を適切に解釈できる
- ・ベッドサイドで超音波による心臓、肺・胸腔、腹部の基本的なアセスメントができる
- 5. 診断・治療
- 下記の病態の診断および治療を経験し、その概略を理解する
- ・心停止後症候群
- ・敗血症性ショック
- ・アナフィラキシーショック
- ・循環血液量減少性ショック
- ・てんかん重積
- ・脳卒中(SAH・脳出血・脳梗塞)
- ・重症呼吸不全(肺炎・ARDS等)
- ・閉塞性換気障害
- ・心不全
- ・急性冠症候群
- ・不整脈
- ・急性腎傷害
- ・電解質異常
- ・腹部コンパートメント症候群
- ・DKA・HHS
- ・術後管理(脳・心臓・肺・消化器)
- ・ICU患者の発熱(感染性合併症及び非感染性合併症の鑑別